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事業再構築補助金を申請したい!要件の指針をざっくり解説

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この記事のまとめ

 

今回は、事業再構築補助金の「事業再構築指針の手引き」について、中小企業診断士の岩本さんに解説してもらいました。

事業再構築補助金とは何かというおさらいから、多くの人が申請するであろう4類型に的を絞り要件について、具体的な事例を交えつつ説明があります。

 

こんにちは!
アクセルパートナーズのスタッフ桜井です。

今年大注目の補助金「事業再構築補助金」について、支援の対象を明確化する「事業再構築指針の手引き」(令和3年3月17日)が発表されました。

今回はこの手引きについて、補助金に詳しい中小企業診断士の岩本さんに解説してもらいます!

イメージしやすいように具体的な事業やお店を取り上げて解説していますので、サッと補助金の要件を知りたい方はぜひご覧ください!

(編集:桜井ゆかこ)

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは?補助金額・補助率などをザっとおさらい

事業再構築補助金とは、コロナの影響から立ち直り、新たな事業に転換するというようなイメージの補助金です。
補助金額や補助率は以下の通りです。

  補助金額 補助率
中小企業(通常枠) 100万円~6,000万円 2/3
中小企業(卒業枠) 6,000万円超~1億円以下 2/3
中堅企業(通常枠)  100万円以上8,000万円以下 1/2
(4,000万円超は1/3)
中堅企業
(グローバルV字回復枠)
8,000万円超~1億円以下 1/2

そんな事業再構築補助金、支援の対象を明確化するための指針が発表されましたね!

今回はその「事業再構築指針の手引き」(令和3年3月17日)をもとに、どんな場合に補助金を活用できるのか解説していきたいと思います。
今回は、多くの人が申請を考えていると思われる4つの類型に絞って話していきますね。
実際の事業やお店を取り上げた具体的な事例は「①【新分野展開】新たな製品等で新たな市場に」からです。

そもそもの事業構築補助金の概要や申請の簡単な流れはこちらをどうぞ

【中小企業向け】おすすめの事業再構築補助金について解説します!

前提:支援の対象となる事業4類型の簡単解説

「製等」と書かれているものは、「製品、商品もしくはサービス」と捉えてもらって大丈夫です。
「製等」は「提供」、「製造方法等」は「提供方法」などで読み替えが可能です。
①新分野展開でいくと、「新たなサービスで新たな市場に進出する」というように読めます。

①新分野展開

新たな製品等で新たな市場に進出すること。

【定義】中小企業等が主たる業種(※1)又は主たる事業(※2)を変更することなく、新たな製品等を製造等することにより、新たな市場に進出すること

(※1)直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業
(※2)直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業

②事業転換

主な「事業」を転換すること。

【定義】中小企業等が新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること

日本標準産業分類について

 

例:日本料理店が焼き肉屋を開始する場合
日本料理店は【大分類】M宿泊業、飲食サービス業⇒【中分類】76飲食店⇒【小分類】762専門料理店
⇒【細分類】7621日本料理店

焼き肉屋は、7623中華料理店、7624ラーメン店、7625焼肉店

細分類ベースで事業転換になります。

日本標準産業分類は「総務省ホームページ 日本標準産業分類」で確認することができます。

③業種転換

主な「業種」を転換すること。

【定義】中小企業等が新たな製品を製造することにより、主たる業種(※1)を変更すること

④業態転換

製造方法等を転換すること。

【定義】製品等の製造方法等を相当程度変更すること

事業再構築補助金にはこの4類型のほかに「事業再編」や、また枠として「中小企業卒業枠」「中堅企業グローバルV字回復枠」がありますが、今回は上記①~④の4つに絞って解説します。
ではそれぞれの要件を見ていきましょう!

必要となる要件と各要件の解説

事業再構築補助金に申請する際の主な4類型の必要要件は以下の通りです。要件の解説は表の後にあります。

類型 必要となる要件
製品等の新規性 市場の新規性 製造方法等の
新規性要件
設備撤去等又は
デジタル活用要件
売上高10%  売上高構成比
①新分野展開      〇  
②事業転換        〇
③業種転換        〇
④業態転換 製造業のみ
必要
  製造業以外必要  〇  

製品(等)の新規性要件

①新分野展開 ②事業転換 ③業種転換 ④業態転換(製造業のみ必要)

(1)過去に製造等した実績がないこと
→例:ウィークリーマンションの経営者がレンタルオフィスを始める場合、レンタルオフィスを過去営んだことがない

(2)製造等に用いる主要な設備を変更すること
→レンタルオフィス業をはじめる際、新たに客室の改装やオフィス機器の導入が必要

(3)競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと
→商圏内の競合他社の多くが、レンタルオフィス業を営んでいない

(4)定量的に性能又は効能が異なること(製品等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限って必要)
→ウィークリーマンションとレンタルオフィスでは、提供するサービスの種類が異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しい

以上の4つすべてを満たすこと。

※「新規性」とは、事業再構築に取り組む中小企業等自身にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。

定量とは?

数値や数量で表すことができる要素のこと。売上額、販売数、スタッフ数、顧客数、価格、割合、変化率などがあげられます。

市場の新規性要件

①新分野展開 ②事業転換 ③業種転換

(1)既存製品等と新製品等の代替性が低いこと
→例:ウィークリーマンションとレンタルオフィスは、関係性が薄いサービスである。新たにレンタルオフィスを始めたことで、ウィークリーマンションの需要が代替され、売上高が減少するといった影響が見込まれない

(2)既存製品等と新製品等の顧客層が異なること(任意要件)
→例えば、ウィークリーマンションの顧客層は、地方(遠方)のビジネスマンであるのに対し、レンタルオフィスの顧客層は、近隣のビジネスマンであることを示す

製造方法等の新規性要件

製造方法は提供方法と言い換えることが可能です。

④業態転換

(1)過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
(2)新たな製造方法等に用いる主要な設備を変更すること
(3)競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法等ではないこと
(4)定量的に性能又は効能が異なること(製品等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限って必要)

以上の4つすべてを満たすこと。

設備撤去等又はデジタル活用要件

④業態転換(製造業で必要)

既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの又は非対面化、無人化・省人化、自動化、最適化等に資するデジタル技術の活用を伴うものであること。

売上高10%要件

①新分野展開 ④業態転換

新たな製品等の(又は製造方法等の)売上高が総売上高の10%以上となること

売上高構成比要件

②事業転換 ③業種転換

新たな製品等の属する事業(又は業種)が売上高構成比の最も高い事業(又は業種)となること

類型や条件が色々あることは分かりました!
実際どんな風に事業をあてはめていけばいいんでしょうか?

では、それぞれの類型を細かく見ていきましょう。
多くの事業は、①新分野展開か④業態転換にあてはまるのではないかと予想しています。

①【新分野展開】新たな製品等で新たな市場に進出する

まずは、新分野展開の場合です。
新分野展開は、【製品等の新規性要件】、【市場の新規性要件】、【売上高10%要件】を満たすことが条件でしたね。
今回は手引きにもある、ウィークリーマンションの事例を見てみましょう。

【要件を満たしている事例】ウィークリーマンション+レンタルオフィス

 

・都心部の駅前にビジネス客向けのウィークリーマンションを営んでいる
・テレワーク需要の増加を踏まえて、客室の一部をテレワークスペースや小会議室に改装するとともにオフィス機器を導入
・3年間の事業計画期間終了時点で、当該レンタルオフィス業の売上高が総売上高の10%以上となる計画を策定

【製品等の新規性要件】
・過去にレンタルオフィスを営んだことがない
・レンタルオフィス業を始めるため、新たに客室の改装やオフィス機器の導入が必要であり、その費用がかかる
・商圏内の競合他社の多くが、レンタルオフィス業を営んでいない
・ウィークリーマンションとレンタルオフィスでは、提供するサービスの種類が異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しい

【市場の新規性要件】
・レンタルオフィスを始めたことで、ウィークリーマンションの需要がなくなり、売上高が減少するといった影響が見込まれないことを説明
・ウィークリーマンションの顧客層は、地方(遠方)のビジネスマンであるのに対し、レンタルオフィスの顧客層は、近隣のビジネスマンであることを示す

【売上高10%要件】
3年間の事業計画期間終了後、レンタルオフィス業の売上高が総売上高の10%以上となる計画を策定する

②【事業転換】主な「事業」を転換する

次は、事業転換の場合ですね。ここでは、【製品等の新規性要件】、【市場の新規性要件】、【売上高構成比要件】の3点が要件でした。事例は日本料理店です。

【要件を満たしている事例】日本料理店<焼き肉屋

 

・日本料理店が、焼肉店を新たに開業する
・焼肉店は換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされ、足元業績が好調
・3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上高構成比が、標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定している

【製品等の新規性要件】
・過去に焼肉店を営んだことがない
・焼肉店の開業にあたって、新たに卓上備え付けのロースター等の設備や内装の改装などが必要であり、その費用がかかる
・日本料理店を営む競合他社の多くが、焼き肉店を営んでいない
・日本料理店と焼肉店では、提供するサービスの種類が異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しい

【市場の新規性要件】
・例えば、日本料理店(大衆向けとして沖縄料理を提供)が、高価格帯の商品を提供する焼肉店を始める場合、異なる顧客のニーズに応えるものであることから、焼肉屋により、日本料理屋の需要が代替され、売上高が減少するといった影響が見込まれない
・ファミリー層向けからカップル向け、大衆向けから高級志向等、ターゲット層の違いとその妥当性を説明

【売上高10%要件】
「日本料理店」と「焼肉店」は、日本標準産業分類の細分類ベースで異なる分類がなされている。従って、3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上構成比が、日本標準産業分類細分類ベースで最も高くなる計画を策定していれば、要件を満たすことになる。

③【業種転換】主な「業種」を転換する

次は業種転換の場合です。【製品等の新規性要件】【市場の新規性要件】【売上高構成比要件】を満たすことが条件です。
事例は生産用機械工場を閉鎖してデータセンターを建設するとういものです。

【要件を満たしている事例】生産用機械工場閉鎖→データセンターを建設

 

【要件を満たしている事例】生産用機械工場閉鎖→データセンターを建設
・生産用機械の製造業を営んでいる事業者が工場を閉鎖し、跡地に新たにデータセンターを建設
・コロナの影響も含め、今後ますますデータ通信量の増大が見込まれるため、5年間の事業計画期間終了時点において、データセンター事業を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定

【製品等の新規性要件】
・過去にデータセンター事業を営んだことがない
・データセンターを建設するため、新たにデータサーバーの購入等が必要であり、その費用がかかる
・同種の生産用機械を製造している競合他社の多くが、データセンター事業を行っていない
・生産用機械とデータセンターは、異なる製品(サービス)であり、定量的に性能又は効能(強度や軽さ等)を比較することが難しい

【市場の新規性要件】
・生産用機械の製造とデータセンター事業は、関係性が薄いサービスであり、新たにデータセンター事業を始めたことで、生産用機械の需要が代替され、売上高が減少するといった影響が見込まれない
・例えば、製造業の川上事業者から、クラウドサービスを利用する個人顧客に変わること等を説明することが考えられる。

【売上高構成比要件】
「生産性機械製造」(製造業)と「データセンター事業」(情報通信業)は、日本標準産業分類の大分類ベースで異なる分類がなされている。従って、5年間の事業計画期間終了時点において、データセンター事業を含む業種の売上構成比が最も高くなる計画を策定していれば、要件を満たすこととなる。

④【業態転換】製造方法等を転換する

4つめは業態転換ですね。この要件は、【製造方法等の新規性要件】【製品等の新規性要件(製造業のみ)】【設備撤去等又はデジタル活用要件(製造業以外)】【売上高10%要件】となっています。
事例はヨガ教室です!

【要件を満たしている事例】ヨガ教室+オンライン専用のヨガ教室

 

・ヨガ教室について店舗での営業を縮小し、オンライン専用のヨガ教室を新たに開始
・コロナの影響で顧客が激減し、売上げが低迷していることを受け、サービスの提供方法を変更
・オンライン専用のヨガ教室の売上高が、3年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定している

【製品等の新規性要件】
・過去にオンライン専用のヨガ教室を営んだことがない
・オンライン専用のヨガ教室を開始するために、新たに配信機材等を導入する必要があり、その費用がかかる
・ヨガ教室を営んでいる競合他社の多くが、オンライン専用のヨガ教室サービスを提供していないことを示すことで要件を満たす。
・新たに導入した提供方法により、1回当たりの提供コスト等、生産効率がどの程度改善しているか等を示すことで要件を満たす。

【製造方法等の新規性要件】
製造方法の変更ではないため、製品の新規性要件は不要。

【設備撤去等又はデジタル活用要件】
店舗の営業を縮小するに際して、既存設備を撤去すること又は非対面化や無人化・省人化を図るために、受付、レッスンの受講や個別指導、パーソナルデータの管理を一貫して行うシステムを活用することを示すことで要件を満たす。

【売上高構成比要件】
3年間の事業計画期間終了時点において、オンライン専用のヨガ教室の売上高が、総売上高の10%以上となる計画を策定していることで要件を満たす。

指針を読んで

まだ詳細が記してある公募要領が出ていないため、不明確な部分はありますが、指針としてはこんな感じです。

補助金の申請にあたって、特に重要なポイントはありますか?

【製造方法等の新規性要件】が特に重要なポイントになってくるのではないかと見ています。
もし新たな機械を買う場合、今の機械ではできない理由などを明確に書く形になるのではないでしょうか。
また、売上要件で新規の事業の比率が高くなるほど、加点されるのではないかと予想しています。

競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないことってどうやって証明すればいいんでしょうか?
「ないこと」を証明するのって難しい気がします。

その場合は、商圏が被る範囲の競合他社を調査する形になると思います。

そういう方法を取ればいいんですね!

今回は分かりやすいように具体的な事例を取り上げたので、それぞれの要件について、詳細の概要を知りたい方は「事業再構築指針の手引き」をご覧ください

まとめ

 

今回のまとめ

 

今回は、事業再構築補助金の「事業再構築指針の手引き」について、中小企業診断士の岩本さんに解説してもらいました。

事業再構築補助金とは何かというおさらいから、多くの人が申請するであろう4類型に的を絞り要件について、具体的な事例を交えつつ説明があります。

 

①【新分野展開】新たな製品等で新たな市場に進出する
②【事業転換】主な「事業」を転換する
③【業種転換】主な「業種」を転換する
④【業態転換】製造方法等を転換する

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また、中小企業向けの補助金については下記の記事にまとめていますので、ぜひチェックしてみてください!

【2021年】中小企業向けのおすすめ補助金をまとめて解説!

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記事監修:岩本 秀巳(中小企業診断士)

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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