中小企業の人手不足にはマルチスキル化(多能工化)で対応しよう!

2008年をピークに、日本の人口は減少しています。この傾向は今後も続くと考えられ、2065年には8,808万人になると推計されています。

人口が減少するとともに、生産年齢人口が減っており、人手不足が深刻化。
女性や60歳以上の労働者の就業率はあがっているものの、中小企業では採用人数をふやすことは、むずかしい現状です。

そこで、取り組みたいのは、従業員の人材育成。
マルチスキル化(多能工化)をしていくことです。

具体的に、どんな取り組みをして、どんな効果があるのかみていきます。

 

1.マルチスキル化とは

マルチスキル化」は、一般的に「多能工化」といわれます。

多能工(マルチスキル)とは、1人で複数の業務や工程をこなすスキルをもった従業員のことをさします。
組織の人材を、多能工として教育・訓練するしくみを、「多能工化」と呼びます。

トヨタ生産方式から生まれたアイデアですが、製造業だけでなく、サービス業や流通業など様々な業界で取り入れられています。

 

2.取り組みの内容

多能工化を進めるうえで、実際に中小企業が併せておこなっている取り組みがあります。

内容は、以下のとおりです。

①業務マニュアルの作成・整備

②従業員のスキルの見える化

③多能工化に応じた昇給・人事評価

④業務の棚卸し・見える化

⑤ジョブローテーション制度の実施

⑥多能工化に向けた能力開発機会の提供

「①業務マニュアルの作成・整備」は、従業員に新たな業務を担当させるうえで、学習環境を整える役割があります。
また、「②従業員のスキルの見える化」は、従業員の能力を確認し、今後習得させるべき能力を決める際に活用できます。

多能工化を積極的におこなっている企業は、①~⑥の取り組みを、あわせて行っている比率が高いです。

 

3.得られる効果

実際に、従業員の多能工化によって、得られた効果には次のようなものがあります。

①従業員の能力向上

②全体の業務平準化による、従業員の負担の軽減

③繁忙期・繁忙部署における業務処理能力向上

④従業員間のコミュニケーションが増え、職場の活性化につながった

⑤担当者不在時の対応力が向上し、休暇取得が容易になった

特に、②は一部の部署や従業員に偏っていた業務を、他の従業員にも担当させることで、業務量を平準化し、業務負担が重かった従業員の負担軽減につながっています。
また、③は、繁忙期や繁忙部署において、他部署からの支援にまわる人材が増えたことで、処理能力の向上につながります。

 

4.まとめ

多能工化の推進には課題もあります。

多能工化を進めるための時間的余裕がない
多能工化を主導できる人材が社内にいない
業務負担増加を懸念する従業員からの反発

これらの課題を払しょくするには、まず「なぜ多能工化をする必要があるのか」目的を共有して、みんなでコミュニケーションをとりながら協力する体制を整える必要がありそうです。

多能工化は、労働生産性を高めることが期待できます。以下の資料には、実際に取り組んだ企業の事例が載っていますので、参考にしてくださいね。

「2018年版中小企業白書 第2部第3章」[PDF形式:2,823KB]