2025年度新設!「中小企業新事業進出補助金」とは?概要や基本要件などを解説
2024年12月5日(12月18日に内容更新あり)、中小企業庁から2025年度新設される「中小企業新事業進出促進事業(中小企業新事業進出補助金)」の情報が公開されました。
既存基金を活用した予算規模1,500億円の事業であり、「中小企業・小規模事業者の成長につながる新事業進出・事業転換を重点的に支援するための新たな支援措置」、と定義されています。本コラムでは、2024年12月25日時点の公開情報に基づき、中小企業新事業進出補助金の概要、基本要件などを幅広く解説してまいります。
中小企業新事業進出補助金の概要
中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)は、2025年度に新設される補助金制度のひとつです。
既存事業と異なる、新市場・高付加価値事業への進出を意図する意欲ある中小企業者を後押しすることで、企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的としています。つい先日まで公募のあった事業再構築補助金は、「新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰またはこれらの取組を通じた規模の拡大など、思い切った事業再構築に意欲のある中小企業を支援する」ことを目的としており、主旨が似た補助金といえ、「事業再構築補助金の成長枠の後継」である、というご意見が散見されるのも頷けます。
また、中小基盤整備機構が公表した事務局公募要領によりますと、確定ではないものの、補助予定件数は約6,000件、2025年4月からの公募開始が予定されています。
事業再構築補助金は、回を重ねるごとに、既存事業が全く異なる複数の事業者が、シミュレーションゴルフの展開という同じような計画で採択されるケース等が多く見受けられ、財政制度等審議会の分科会にて改善や廃止を求める意見が出される事態となり、結果として公募終盤には採択率が大きく低下する事態となりました。
中小企業新事業進出補助金はどのような点に着目して審査が実施されるのか、事業再構築補助金の採択事業者は応募が出来るのか、新規事業について、応募可能な業種は限定される(もしくは特定の業種が排除される)のか、などの追加情報が待たれるところです。
中小企業新事業進出補助金の基本要件
現時点で公開されている中小企業新事業進出補助金の基本要件は以下の通りです。
項目 |
詳細 |
企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦 |
事業者にとって新製品、または新サービスを新規顧客に提供する新たな挑戦であること |
(1)付加価値額の年平均成長率 |
付加価値額の年平均成長率 4.0%以上増加 |
(2)給与支給総額の年平均成長率 |
1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加 |
(3)事業所内最低賃金 |
事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円以上の水準 |
(4)次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画 |
補助事業終了時点までに、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等していること |
なお、補助事業終了後3~5年の間、毎年度、上記(2)および(3)の要件が未達の場合、補助金金額を事業計画年数で除した額を返還する必要がある旨が定められています。(付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として営業利益赤字の場合や、天災の場合等は除く)
また、中小基盤整備機構が公表した事務局公募要領には、「本事業の成果により収益が得られたと認められる場合にも、収益納付は求めない」と明記されています。2024年12月25日に中小企業庁ホームページに公開された支援策チラシにおいても、同様の記載があります。
収益納付とは、補助金適化法を根拠とするもので、収益が生じた場合には、補助金交付額を限度として収益金の一部または全部に相当する額を国庫へ返納することを指します。つまり、自己負担額を超える利益は、補助金の交付額を限度として返納する必要があるという制度です。2025年度においては、「ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」においても中小企業庁が作成した支援策チラシなどに「収益納付は求めません」と明記されています。
支援対象となる中小企業が、補助金実施事業を通じて得た利益をさらなる成長投資に振り向けることが出来るようにする狙いがあるものと思われますが、今後発表される新たな補助金も同様の制度となるのかが注目されるところです。
中小企業新事業進出補助金の内容
中小企業新事業進出補助金には、ものづくり補助金に設けられているような支援枠や類型は無い模様です。現時点で公開されている補助上限、補助率などは以下の通りです。
|
内容 |
補助上限 |
()内は大幅賃上げ特例(※)を達成した場合 ・従業員数20人以下 2,500万円(3,000万円) ・従業員数21~50人 4,000万円(5,000万円) ・従業員数51~100人 5,500万円(7,000万円) ・従業員数101人以上 7,000万円(9,000万円) なお、補助下限額は750万円 |
補助率 |
1/2 |
事業実施期間 |
交付決定日から14か月以内(ただし、採択発表日から16か月以内) |
補助対象経費 |
建物費、構築物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費 |
※大幅な賃上げ特例事業者:事業終了時点で以下(1)(2)双方を達成していること
(1)事業場内最低賃金+50円以上
(2)給与支給総額+6%以上
なお、中小企業新事業進出補助金においても、事業再構築補助金と同様に「建物費」が補助対象経費に含まれています。こういった点からみても、事業再構築補助金の主旨を色濃く残す補助金であると言えますね。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
当社、アクセルパートナーズは、本補助金の前身となる、事業再構築補助金の第1回公募から事業者様の支援を行っております。
200社以上ご支援し採択された沢山のノウハウをもとに、お客様の状況に合わせたサポートを提供いたします。
中小企業新事業進出補助金の申請をお考え、手続きでお悩みの事業者さまは、ぜひバナーをクリックのうえご相談ください!