IT導入補助金の再申請は可能?過去に採択されてもOK?
補助金の審査は官公庁が行うものですから、ある程度厳しい審査を行っています。
事業内容が不透明だった場合には不採択になることも珍しくありません。
不採択になった事業主としては、やはり補助金は欲しいところですから、再チャレンジしたいところでしょう。
そんな場合、もう一度IT導入補助金の申請を行うことは可能なのでしょうか。
また、過去に補助金を受け取った事業主が再申請を行うことは可能なのでしょうか。
IT導入補助金の採択率は?
基本的に、官公庁としてはやはり多くの事業に補助金を出したがるものです。
せっかく予算を組んでいるのですから、それを活用しないわけにはいきません。
では、過去の採択率はどのくらいなのでしょうか。
仮に採択率が低いのであれば、再申請してもなかなか通らないだろうと覚悟ができます。
一方で、採択率が高いのにもかかわらず不採択になったら、申請のやり方に問題があると考えられるようになるでしょう。
だからこそ、多くの事業主にとっては採択率は気になるところのはずです。
IT導入補助金には4つの枠があり、経済産業省ではそれぞれでどのくらいの数の企業が申請し、どのくらいの申請が採択されたかを公表しています。
それによると、デジタル化基盤導入枠の採択率は90%程度、通常枠Aは55%程度、通常枠Bは50%程度、セキュリティ対策枠は95%程度と発表されています。
再申請する際は、こうした数字を参考にしつつ、改めて戦略を練らなくてはいけません。
IT導入補助金の再申請はすぐに行ってもいい
経済産業省では、IT導入補助金の申請を年に複数回受け付けています。
たとえば、デジタル化基盤導入の枠では2022年には19回もの募集を行っていました。
では、1回目のデジタル化基盤導入の枠に申請を行ったとして、不採択されてしまったとしましょう。
その結果を受けて、2回目の枠に申請することは可能なのでしょうか。
不採択なのであれば申請してもなんの問題もありません。
そのため、不採択になったとしても、うちはIT導入で補助金はもらえないんだ、とあきらめる必要はないです。
もっとも、だからといって前回同様の申請書ですぐさま申請することはおすすめしません。
前回の不採択になった申請書を振りかえりつつ、どこが問題だったかを見直したうえで改めてチャレンジしてみましょう。
補助金不採択になる理由は?
次に、なぜ前回の補助金申請が不採択になってしまったかを分析するようにしましょう。
まず押さえておきたいのは、補助金の審査を行う官公庁は不採択の理由を教えてくれないということです。
たとえば、2022年にはIT導入補助金に延べ7万件もの申請が寄せられました。
その一つひとつになぜ不採択になったか、どうすれば採択されるか、といった質問に答えているとキリがありません。
そのため、不採択の理由は自分で考えるしかないのです。
まず基本的なことですが、必要な書類が揃っていなければ補助金が採択されるはずはありません。
IT導入補助金に申請するためには、申請書のほかに、履歴事項全部証明書や納税証明書などといった添付書類をあわせて送付する必要があります。
前回の申請の際、書類に不備がなかったかはしっかりと確認するようにしましょう。
次に、補助金の対象となる経費以外の申請まで行ってしまうと、不採択になる可能性は高くなります。
特に犯しやすいミスとして、消費税の分まであわせて経費として計上してしまうというものがあります。
たとえば、本体5万円のツールを購入するとしましょう。
その分の消費税は5,000円となりますが、だからといって55,000円を経費として計上してはいけません。
このようなミスを犯したがために不採択になってしまった事業主は多くいるので、くれぐれも注意してください。
どうすればIT導入補助金は採択されやすくなる?
では、IT導入補助金で採択されるためにはどのような手立てを講じれば良いのでしょうか。
IT導入補助金では、これを満たせば補助金の申請が通りやすくなる、という加点項目を設けています。
加点項目のどれか一つに該当するだけでも審査で有利になるので、できる限り達成するよう心がけると良いでしょう。
比較的達成しやすい加点項目として賃上げ条項があります。
現在、日本政府では各企業に賃上げの要請を行っていますが、それと並行して賃上げを実施すれば補助金を交付しやすくなるというインセンティブも実施しているのです。
IT導入補助金では年率平均1.5%、もしくは前年比4.5%以上の給与上昇が確認されれば加点すると定めています。
このほか、長期的な計画を立てている事業主は審査で有利になりやすい傾向にあります。
3年にわたる事業計画があれば加点対象になるので、もし事業計画を事前に立ててるのであれば、その旨を伝えるようにしましょう。
また、経済産業省が指定した「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用してみるのもおすすめです。
IT導入補助金ではセキュリティサービスの加入も補助金の対象になっていますが、こういったサービスは多数存在しており、どれを選べば良いか悩んでしまいがちです。
もし、どのサービスに入るか迷っているのならば、加点対象になるサービスを選ぶようにしましょう。
過去に補助金を受け取った場合再申請しても採択されづらい?
ここまでは、前回の申請で不採択になった後再申請するケースについて解説してきました。
ここで気になるのは、過去にIT導入補助金を採択された場合、改めて申請できるのかということです。
事業にITを導入する際は、さまざまなツールや機材を購入しなくてはいけません。
できれば、多くの購入経費を補助金の対象としつつ、コストカットを狙いたいのが信心情のはずです。
ですが、残念ながらIT導入補助金を交付してもらえるのは年度あたり1回と決まっています。
それ以上の申請はそもそも審査以前に突っぱねられてしまうでしょう。
もしかしたら採択される可能性があるかもしれないなどという淡い期待を抱いて無駄な書類手続きを行うのはやめたほうが良いです。
もっとも、補助金が交付された翌年度に改めてIT導入補助金に再申請することは不可能ではありません。
しかし、その場合でも採択される可能性は低くなってしまいます。
なぜかというと、IT導入補助金の審査では加点項目のほかに減点項目も用意しているからです。
減点項目はいくつかありますが、その中の一つに前年度補助金を交付されているというものがあります。
なぜこのような制度が敷かれているのでしょうか。
経済産業省としては、多くの企業に平等に補助金を交付しようと考えています。
特定の企業ばかりに補助金を交付し続けていたら、優遇しているとの批判を受けかねません。
こういった事態を防ぐためにこのような減点項目を設けているのです。
もちろん、減点項目を勝るほどの加点項目があれば前年度補助金を交付されていても、改めて補助金を交付される可能性はゼロではありません。
そのほか、前年度と違った枠に申請を行えば減点項目の対象にはならず、補助金を交付してもらえる可能性は高まります。
たとえば、前年度デジタル化基盤導入の枠に申請して補助金を交付してもらったとしたら、今年度は通常枠に申請するなどといった対応を採るようにしましょう。
まとめ
IT導入補助金は、ほかの補助金に比べれば比較的スムーズに交付してもらいやすいです。
しっかりと対策を立てて申請に臨めば採択される可能性は十分にあるでしょう。