ビジネスに地域資源活用!スモールスタートする小さなお店のマーケティング戦略
小規模なお店にとって、いまの時代の流れは、追い風となっています。 ■消費者ニーズの多様化…消費者の要望が、多くの種類に分かれること ■高齢化 ■地方への回帰の動き…UターンやIターンなど地方へ移住すること ■地産地消…地域で生産された農作物などを、地域内で消費すること これらの機会をチャンスととらえて、適切なマーケティング戦略を考え、自社のお店を変えていこうと意欲をもって取りくむことが、生き残りの明暗をわけるのかもしれません。 ヒト・モノ・カネなどの経営資源が少ない小規模なお店にとって、経営のヒントとなる、スモールビジネスについて考えてみたいとおもいます。
1.小規模なお店のメリット
大型スーパーなど、大規模なお店を想像してみてください。 「だいたいどこへ行っても、置いてある商品が同じ」と感じたことはありませんか。
メリット①:個性化
“製品が市場に普及し、市場の成長が鈍る”成熟期においては、小規模なお店の「個性」が、消費者の満足度に直結するようになります。 個性化度が高まれば高まるほど、自社のお客さまの満足度も高まっていきます。 たとえば、 ・じぶんの納得した自信のある商品だけを扱う ・じぶんが本気で売りたい商品だけを扱う ・専門家として選びぬいた商品だけを扱う などによって、経営者の個性やビジョンがみえる売り場づくりができます。 このような個性が、お客さまの共感をうみだして、集客につながります。メリット②:変化への対応
社会や経済の環境がはげしく変化することは、小規模なお店にとって追い風になっています。 経営者自身がバイヤーであり、販売員であるので、現場でお客さまのニーズをスピーディーに取りいれ、商品戦略や売り場などに、すぐに反映することができます。 小規模なお店のほうが、圧倒的な速さで、「変化」を「チャンス」にすることができるのです。メリット③:地域とのつながり
高齢化や地元への回帰の動きによって、「家の近くで買い物をしたい」という消費者がふえているようです。 しかし、地元では買いたいものが十分にない、という意見が多いとのこと。 小規模なお店こそが、地域の特性にあわせた品ぞろえやサービスで、きめ細かく経営をしていくことで、地域とのつながりを武器にすることができるのです。 また、地産地消の動きも高まっていて、生産量の少ない地域産品をとり扱うのは、小さな市場への対応力がある、小規模なお店のほうが有利です。 具体的には、地域産品の販売や地域ブランドの導入、地域モニターの活用、地域イベントへの参加など、さまざまな方向性が考えられます。
2.ターゲットの志向
“大量生産・大量販売を前提としている”大規模なお店に背をむける消費者をねらっていくことは、小規模なお店にとってビジネスチャンスとなります。 具体的なターゲットは、 『小さなお店での買い物が好きなひと』。 このターゲットには、次のような特性があります。①本格志向
「店のこだわり・個性・専門化」を重視している②人的コミュニケーション志向
「店員のアドバイス・店員とのコミュニケーション」を重視している③関係性志向
「気に入った店は長く利用したい・ここと決めた店がある」とおもっている割合が高い こういった志向のお客さまを、一度引きつけることができれば、リピーターになる可能性が高く、とても優良なお客さまになるのです。 ところが、現状では、このようなターゲットの期待に対して、小規模なお店がこたえられていないというギャップがあり、うまく対応できていないようです。3.個性を武器に
お店のこだわり・個性・専門化を発揮していくためには、お店の「コアな部分」、つまり、樹木でいえば「幹」にあたる部分を、太くしていかなければなりません。 幹を太くするとは、質的に充実させることで、強いお店にしていくことです。 幹を太くするためには、しっかりとした「根」が必要です。 根とは、経営資源のことです。1)形のある経営資源
ヒト・モノ・カネなどの資源2)形のない経営資源
専門知識、独自の経験、ノウハウ、顧客の信頼、熟練技術、こだわりなどの資源 ※ライバルがマネをすることが難しいもので、お店にとって重要な資源です3)小規模のメリット①~③
「個性化」力、「変化への対応」力、地域との密着力(「地域とのつながり」) 特に、2)3)を組みあわせることで、ライバルよりも優れた「根」=経営資源をつくり、今後も戦いつづけるための武器にすることができます。4.経営者の心構え
ここまでお話してきたことをしっかりと確立したうえで、具体的に何をしていくのかという、マーケティングミックスについて決めていくことになります。 マーケティングミックスは、商品・販売方法・プロモーション・サービス・立地・店舗・お金・ITなど、さまざまな切り口で考えていきます。 それらはすべて、ターゲットとなるお客さまの志向と、自分のお店の強み(主に形のない経営資源)と一貫性をとって、お店ごとに独自に考えなければなりません。