【事業再構築補助金2023】半導体分野にも使える?製造業における採択事例を紹介!
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中小の製造業者の皆様の中には、既存の事業領域での成長が難しい状況にあり、新たな事業展開を模索している方もいらっしゃることでしょう。近年、半導体技術は私たちの日常生活に欠かせない要素となり、スマートフォンから自動車、エネルギー供給まで、多くの分野で需要が拡大しています。特に人工知能の進化やIoT(モノのインターネット)の普及に伴い、半導体分野の市場拡大はさらに期待されています。そこで、半導体分野への進出を検討されている、意欲的な事業者の方もいらっしゃることと思います。
このコラムでは、半導体分野への新規事業展開を検討している中小企業の皆様に、事業再構築補助金について詳しくご紹介いたします。過去の採択事例から学べる特徴や制度に焦点を当て、製造業に携わる皆様に「事業再構築補助金」の潜在的な価値と、その活用に関する情報を提供いたします。既存のビジネスから半導体関連の新規事業への転換を検討する際のポイントと成功への鍵について、深堀りをしていきます。
目次
「事業再構築補助金」とは?
ここで、「事業再構築補助金」について解説します。
事業の概要
事業再構築補助金ホームページには、「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために、新市場進出(新分野展開、業態転換)や事業・業種転換、また事業再編など事業の再構築に意欲的な中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。」と記載があります。
つまり事業再構築補助は、既存事業の枠を超えた思い切った事業再構築の意欲を有する、中小企業が活用できる補助金といえます。
補助の対象となる経費
事業再構築補助金の申請において、支給対象となる経費が明確に規定されています。対象外の経費については、支給対象から外れ、それらの経費に支援が適用されないことになります。申請時点で対象外の経費が多い場合、採択が難しくなることも考えられます。最新の公募要領を確認し、適切な経費の情報を把握することも重要になります。
対象となる経費
- 建物費(建物の建築・改修等)、
- 機械装置・システム構築費、
- 技術導入費(知的財産権導入に要する経費)
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用料
- 外注費(加工、設計等)
- 広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
- 研修費(教育訓練費等)等
なお、補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費、不動産、汎用品の購入費は補助対象外となりますのでご注意ください。
詳細は、事業再構築補助金の公募要領の36~42ページを参照ください。(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf )
いつまで? 11次締切分のスケジュール
公募期間:令和5年8月10日(木)~ 令和5年10月6日(金) 18:00まで
半導体関連の「事業再構築補助金」の採択事例
第10回の事業再構築補助金(公募期間:令和5年3月30日(木) ~ 令和5年6月30日(金))の約1,300件もの製造業の採択事例の中から、半導体関連の事例を100件以上調査しました。これらの事例を通じて、半導体に関連する採択事例の特徴やトレンド、そして成功への手がかりを詳しく紹介します。
事業再構築補助金は、新しい取り組みに積極的に挑戦し、事業の成長を支援する制度です。そのため、新規事業への取り組みが求められます。実際に採択された事例を見ると、約8割以上が半導体以外の分野から新規にチャレンジするケースであることがわかります。特に半導体製品や半導体製造装置に関連した部品市場に進出する事例が約半数近くを占めています。そこで、第10回の事業再構築補助金で採択された具体的な事例を紹介します。
事業計画名 |
事業計画の概要 |
次世代パワー半導体製造装置部品製造事業に向けた加工技術・体制構築計画 |
創業以来、原子力発電プラントを初めとする重電分野にて培った特殊ステンレス溶接技術を活かして、より高度な加工技術・品質管理を要する次世代パワー半導体製造装置部品の製造に向けた体制を構築する。 |
半導体製造装置分野へ進出するための製造・検査の好循環製造ラインの構築 |
コロナをきっかけに当社の既存事業の成長は困難となっている。そこで当社のCNC棒材製造ノウハウを生かして新たにCNC自動旋盤と三次元測定機を導入し高度技術を要する半導体製造装置部品分野への新市場進出を行う。 |
半導体製造装置部品製造への設備導入と自社技術による新市場進出 |
本事業は、電子機器測定装置部品加工を主力とした既存事業からマシニングセンタの設備導入と自社技術開発によりリードタイム短縮と高精度化を図り、半導体製造装置部品加工への新市場進出を目指す事業再構築です。 |
半導体製造装置の部品製造開始による新分野展開 |
半導体需要の継続的な拡大を事業機会と捉え、当社の強みである試作対応力と技術力を活かして、半導体製造装置の部品製造に新たに取り組むことで、新たな収益の柱の構築を図ります。 |
ベーシック立形マシニングセンタでパワー半導体洗浄装置部品へ展開 |
既存建機用吊り具部品への依存度低下を目的に、強みの材料加工技術と新規導入のベーシック立形マシニングセンタを活用してパワー半導体用洗浄装置部品へ進出する。洗浄装置用非接触重要部品の製造進出で、大幅なCO₂削減を図る。 |
(出典:事業再構築補助金ホームページ「第10回公募 補助金交付候補者の採択結果」より、当社が該当する事例を抜粋し一部編集)
これらの企業は、既存の事業で培った製造や加工に関する高度な技術力を活用し、新たな挑戦として半導体分野に展開しています。この技術の転用により、半導体市場における競争力を高め、新たな成長への一歩を踏み出しています。
さらに、採択事例からは「国内回帰」または「サプライチェーン強化」といったキーワードも浮かび上がってきます。
既存の取引先から部品の安定供給のために国内生産や増産の要請に応え、工場の拡張や新規の設備導入などを行い、効果的に対応するケースも見受けられます。
こちらも、第10回の事業再構築補助金で採択された具体的な事例を紹介します。
事業計画名 |
事業計画の概要 |
半導体製造装置部品に関わるセラミックプレート生産の国内回帰 |
当社は半導体製造装置の中核部品「静電チャック」を供給しています。現在はその約80%を韓国で委託製造しています。海外生産のリスクを排除し、サプライチェーンを強化する目的で、国内工場を増強整備し、静電チャックの100%国産化を図ります。 |
半導体製造装置部品生産の国内回帰に伴う 生産拠点整備計画 |
当社の主要取引先が、ベトナム工場にて製造・調達している半導体製造装置部品について、同社からの要請に基づき、その部品製造を国内回帰するために新工場および新鋭設備を導入する。 |
樹脂加工の技術力を活用した半導体製造装置部品製造の国内回帰への挑戦 |
現在、取引先より半導体製造装置部品の海外生産に依存している体制のリスク改善と製造装置の増産を目的に、当該部品の増産要請をいただいている。新たに工場の増築と加工機を導入し生産能力をアップすることでサプライチェーンの国内回帰を実現させる。 |
半導体製造装置部品の国内回帰に対応するための生産体制の構築 |
半導体製造装置の国内大手企業が金属加工部品を中国調達から国内回帰を企図。当社への増産要請を受け、新工場の建設と最新設備による自動化生産体制を構築して供給体制を整える。 |
サプライチェーンの国内回帰を実現!半導体製造装置用部品の国内生産拠点の整備計画 |
当社は主に半導体製造装置の流体制御用精密バルブ部品などの製造・加工を行っている。今回、新たに取引先が海外から調達していた半導体製造装置用部品の生産依頼をいただいているが、現状の生産拠点では業容が限られており、取引先からの依頼に対応できない課題を抱えている。今回の事業計画において新たな半導体製造装置用部品の生産拠点を整備し、サプライチェーンの国内回帰を実現するともに、地域経済と日本の発展に貢献する。 |
(出典:事業再構築補助金ホームページ「第10回公募 補助金交付候補者の採択結果」より、当社が該当する事例を抜粋し一部編集)
まとめ
このコラムでは、製造業の半導体に関連した「事業再構築補助金」の採択事例から読み取れる特徴や、制度の概要について詳しく説明しました。これまでの事業再構築補助金は、厳しい状況の中にある事業者の再生や持ち直しを支援してきましたが、現在では新たな取り組みに積極的に挑戦し、成長を目指す事業者を応援するものへと変わりつつあります。
新しい事業への挑戦を検討している製造業の皆様には、ぜひこの機会に事業再構築補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか?自社の強みを最大限に活かし、新たな成長の道を切り拓く手助けとなるでしょう。
当社、アクセルパートナーズは、事業再構築補助金の第1回公募から事業者様の支援を行っております。
100社以上ご支援した沢山のノウハウをもとに、お客様の状況に合わせたサポートを提供いたします。
応募申請だけでなく、交付申請、実績報告といった先々のサポートまで、サービスメニューをご用意しております。
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この記事の監修
中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾
WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。