愛知県の中小企業経営者が次世代への事業承継について早期に考えることの重要性
中小企業や小規模事業者には、ながい時間をかけて育ててきた事業や、技術・ノウハウや設備などの貴重な経営資源があります。 これらの経営資源が、引継がれずになくなってしまうことは、企業にとっても経済にとっても大きな損失になります。 そこで、次世代の経営者へ、貴重な経営資源を引継いでいくためにはどうしたらよいのかについて、考えてみたいとおもいます。
1. 次世代の経営者
次世代の、新たな経営の担い手として、2つのタイプを考えてみます。 ①自ら起業して経営者になる「起業家」 ②事業を引継いで経営者になる「後継経営者」 新たな経営の担い手の推移をみてみると、全体として減少していて、「起業家」も「後継経営者」も減っていることがわかります。
「起業家」
起業家の男女別の推移をみてみると、女性のほうが年々増えています。

「後継経営者」
後継経営者の男女別の推移についても、起業家と同じように、女性のほうが増えています。

2. 「起業家」について
起業を考えているひとの中には、副業での起業希望者が増えています。なかでも、技術や知識をいかすために起業をしたいひとは、必ずしも現職をやめたいと思っているとは限らないため、リスクを考えて起業を迷っているようです。 このことから、 ・起業に失敗しても再起しやすい環境 ・現職をやめずに副業として起業できる環境 など、環境が整えば、起業を迷っているひとの後押しができ、経営資源を引継いでもらえる相手が増える可能性があるようです。 また、事業のノウハウや顧客・販売先など、経営資源を引継いで起業したいと考えて起業の準備をしているひとが、約6割いるとの調査結果も出ています。3. 「後継経営者」について
「後継経営者」のうち6割超は、両親から経営を引継いでおり、従業員数1~5名の企業が4割を超えています。≪事業を引継ぐポイント①≫
■積極的に事業を引継ぎたい「後継経営者」候補は、 ・事業がなくなると困るひと(取引先、従業員等)がいるから ・事業に将来性があるから と考えて、引継ごうとしているひとが多いようです。 ■事業引継ぎに消極的な「後継経営者」候補は、 ・事業の将来性 ・自身の能力の不足 に不安を感じて、引継ぎをためらうひとが多いようです。 ■以下のグラフを見ると、事業を引継ぎたい年齢は、事業拡大を考えているひとほど、早く引継ぎをしたいと考えていることがわかります。
≪事業を引継ぐポイント②≫
現経営者が、引継ぎをしていくうえで、「後継者に経営状況を詳細につたえること」に苦労する、と感じているひとが一定数います。 どの程度、後継者と引継ぎに関する会話をしているのかを調べてみると、5割以上のひとが「あまりしていない」「していない」と答えています。 次のグラフから、「日常会話」をしていないひとほど、「引継ぎに関する会話」もできていないことがわかります。 引継ぎする相手は、家族や社内などさまざまですが、まずは日常会話から始めることが引継ぎを成功させることにつながるかもしれません。